野宿に生きる、人と動物

野宿者のペットを診る獣医師という視点に興味を持って読んだ。この人の考え方や活動にケチを付けるつもりはない。だけど本として読んだときに、著者と対象である野宿者やそのペットとの距離感が近過ぎると感じた。実際の関係が親密なのはよくわかる。突き放して書くということではなく、もうちょっと客観的な視点が欲しかった気がする。これは読み手である私の問題であって、私がうまく本の中に入り込めなくて勝手に疎外感を感じただけかもしれない。あるいは、著者は本の中で人や動物を少しでも傷つける恐れがある文章を書けなかったのかもしれない。それほどやさしく共感力の強い人だから、こういう活動ができるのでは?、とも思う。