解剖男 (講談社現代新書)

きっとこの解剖学者さんは文章書くのが好きなんだろうと思う。文体が鍛えられていて、解剖ハードイルドといった趣がある。特に冒頭の、電車に乗っていても脳内で解剖シミュレーションする描写が良かった。

本の内容としては、動物の体構造は「系統と適応」の二つを軸にして理解を進めるという基本的な考え方がよくわかった。この二つの観点から動物の体を解剖して読み解くと、ゾウがかつて海で生活していた可能性や、クジラ類の先祖はウシやシカの仲間だったかもしれないことがわかるなど、スリリングだと思った。