そんなに冒険モノを読んでいる訳じゃないけど、冒険モノには標準的な書き方というのがあるのだろうか?この本の場合は、チベット奥地における過去の冒険者の物語と、著者自身の冒険が交錯して描かれていて、著者の冒険記録だけでは生まれなかった味わいがある気がする。
この本にも書いてあるように、あらゆる秘境が探検し尽された現代において、冒険とは何か?という問いは避けることができない。だから過去の冒険を参照するのは当然だろう。その過去の冒険を著者の視点から改めて描き直して、自身の冒険と照らし合わせたとき、歴史という大きな物語の流れの中にいる、著者自身の冒険が物語性を帯びるのかもしれない。以前に読んだこの著者の「雪男は向こうからやって来た」という本も、過去の冒険を描きつつ自身の冒険を綴っていて大変おもしろかった。この書き方が著者の武器なんだろうと思う。
ちなみに一番印象深かったエピソードは、濁流に流される仲間を救おうとして自らも濁流に飲み込まれ亡くなった若い日本人カヌーイストの話だった。著者の視点から語られる、亡くなったカヌーイストの冒険と死生観が印象に残った。
最後の章も著者の生死がかかった緊迫感があってよかった。冒険、というほど大げさなことではないけど、人生には「橋がない!」みたいなことがあるし、「ワイヤーロープがあった!」みたいなこともある。まったく緊迫度のレベルが異なる事態とはいえ、共感できたのがおもしろかった。
この本にも書いてあるように、あらゆる秘境が探検し尽された現代において、冒険とは何か?という問いは避けることができない。だから過去の冒険を参照するのは当然だろう。その過去の冒険を著者の視点から改めて描き直して、自身の冒険と照らし合わせたとき、歴史という大きな物語の流れの中にいる、著者自身の冒険が物語性を帯びるのかもしれない。以前に読んだこの著者の「雪男は向こうからやって来た」という本も、過去の冒険を描きつつ自身の冒険を綴っていて大変おもしろかった。この書き方が著者の武器なんだろうと思う。
ちなみに一番印象深かったエピソードは、濁流に流される仲間を救おうとして自らも濁流に飲み込まれ亡くなった若い日本人カヌーイストの話だった。著者の視点から語られる、亡くなったカヌーイストの冒険と死生観が印象に残った。
最後の章も著者の生死がかかった緊迫感があってよかった。冒険、というほど大げさなことではないけど、人生には「橋がない!」みたいなことがあるし、「ワイヤーロープがあった!」みたいなこともある。まったく緊迫度のレベルが異なる事態とはいえ、共感できたのがおもしろかった。